電子ピアノでは味わえない楽しさがピアノにはある

紫陽花が美しい季節になりました。
梅雨の時期、ピアノにとっては湿気が大敵。
でも電子ピアノには関係ありません。

鍵盤の見た目は一緒だし、調律はいらないし、インテリアとしての圧迫感も無いし、レッスンが続くか分からないし、、
と電子ピアノを買う親御さんの気持ちも分かります。

なのに、なぜ、この大きくて重い生の楽器を弾くのでしょうか?

これはもう、弾いている人の感触です。
生の楽器は空気の振動です。
自分の指先の感触が作り出す音です。

自分の指で鍵盤に触れた時、それに対して弦が振動している感覚。
その振動が鼓膜を震わせ、脳に通じて心にも作用する。
弾いてる人はもちろん、聴いてる人の心にも。

弾いている時の気持ちの入り方が本物の楽器を弾くのとサンプリングされたのもを再生するのでは、やっぱり根本的に違う。
その楽しさは電子ピアノでは味わえない。

生の楽器では、感情が音を作り出す。
心が怒っている時はそういう音が出ますし、穏やかな時は美しい音色を生み出すのが生のピアノ。

一方の電子ピアノは、録音された音が出る。
やる気のない時でも、真剣に取り組んでいる時でも、金太郎飴みたいにいつも同じ音だから、弾いていても面白くない訳。

電子ピアノは、一流のグランドピアノの音はもちろん、エレピやパイプオルガン、ハープシコード、ストリングス(弦)や人の声、それにドラムの音まで出る。
だからもう、ある程度弾ける人なら遊び方(習い方)を変えてもいいくらい。
いっそのこと、電子ピアノの楽しみ方を教える電子ピアノ教室があってもいいのではないかと思ったりする。

残念なことに私の教室にはグランドピアノしかない。
うちの教室では、1/3の生徒が電子ピアノで練習している。
長く続けている生徒ほど、ピアノ所有率は高い。

因みにプロのミュージシャンがステージで演奏する電気ピアノは、電子ピアノとは仕組みが違う。
弾くと金属のリードのようなものを叩くので、空気の振動は感じるそうだ。
どちらかというとアコースティックピアノよりだ。

うちの教室ではウクレレコースがあるけれど、ウクレレが電子ウクレレだったら楽しいだろうか?
そういう意味では、楽器を弾く楽しさは、生の楽器から伝わる空気の振動なのかもしれない。